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安いシステム開発会社に頼んで後悔するケース|見積もり金額だけで比較してはいけない理由

安い見積もりの開発会社に発注して後悔した典型パターン。見積もり金額だけで比較すると何が起きるか、発注者が知っておくべき落とし穴を解説します。

村田 文太郎/代表取締役
  • 受託開発
  • 見積もり
  • 発注失敗回避

「とにかく予算が限られている。安い会社に頼もう。」

気持ちは分かる。だが、見積もり金額だけで開発会社を選んだ結果、トータルコストが2〜3倍になるケースは後を絶たない。安いのは「今の請求書」だけで、失敗コストは後から来る。

比較すべきは見積もり金額ではなく、同じスコープでの総コストと失敗確率だ。

後悔する5つの典型パターン

1. 追加費用の嵐

当初500万の見積もりが、最終的に1,500万。テスト工程、管理画面、外部連携——すべて「スコープ外」として追加請求される。

2. 品質問題の連鎖

テストが不十分なまま納品され、本番で障害が頻発。修正費用と機会損失が膨らむ。

3. 納期の大幅遅延

ジュニア中心の体制では想定外の問題に対応できず、リリースが3〜6ヶ月遅れる。事業機会を逃す。

4. 引き継ぎ不能

納品されたコードの品質が低く、社内エンジニアが引き継げない。結局、別の会社に作り直し依頼。

5. コミュニケーション不全

報告が遅い、認識ズレが解消されない、エスカレーションが機能しない——安い会社ほど、プロジェクト管理の工数を削っている傾向がある。

深掘り事例:500万が1,800万になった案件

匿名化した一例だ。社員数十名の事業会社が、社内業務の効率化ツールを発注した。3社コンペの結果、最安のA社(税抜500万・4ヶ月)を採択した。他2社は800万前後だった。

キックオフ後、次が起きた。

  • 見積書に「管理画面」「CSV出力」「権限設計」がスコープ外と判明し、追加で280万
  • 結合テスト工数がほぼゼロだったため、UATで不具合が集中し、修正と再テストで2ヶ月延伸
  • 本番リリース後も障害が続き、別ベンダーによる調査・部分作り直しで約700万

最終的な外部支出は約1,800万。遅延による社内工数と機会損失は別途だ。安い見積もりの差分300万を節約したつもりが、後から1,000万超を払った形になる。

分岐点は採択時点にあった。A社の見積書にはテスト比率がほぼなく、PM工数も週0.2人月相当だった。他社との差は「機能の豪華さ」ではなく、リスクを見積もりに含めているかどうかだった。

なぜ安い見積もりが出せるのか

安い見積もりの裏側には、必ず構造がある。

削られているもの結果
テスト工程品質問題
設計工程手戻り
PM工数コミュニケーション不全
リスクバッファ追加費用
シニアエンジニア技術的判断の遅延

安い見積もり = リスクを発注者に転嫁する見積もり であることが多い。悪意というより、受注するために不確実性を表に出さない構造だ。

正しい比較の仕方

金額ではなく、同じスコープでの総コストを比較する。

  1. 各社の見積書から「含む/含まない」を表にする
  2. 含まれていない項目の追加見積もりを概算する
  3. 品質リスクによる手戻りコストを加味する
  4. 納期遅延の事業機会損失を考慮する

これをやると、「安い会社」が実は最も高い選択肢であることが分かる。

「適正価格」の見極め方

適正価格の目安:

  • 要件定義・設計に全体の20〜30%
  • テストに全体の15〜25%
  • PMに全体の10〜15%

これらが見積もりに含まれていなければ、安いのではなく不完全な見積もりだ。

判断軸:安い会社を採るか、見送るか

状況推奨
スコープ・前提・除外が表で揃い、最安でも中身が同等価格差を理由に選んでよい
最安だけテスト/PM/設計が極端に薄い見送り。差額は後で必ず回収される
「要件はあとで詰めれば安くなる」と言われる見送り。曖昧さを安さに転嫁している
予算上限が絶対で、スコープを削る合意ができる安さより「何を捨てるか」を先に決める

予算が厳しいこと自体は問題ではない。問題なのは、削る場所をベンダーの見積もり任せにすることだ。

次に確認すること

  1. 最安見積もりの「含まない」一覧を表にしたか
  2. テスト・設計・PMの比率は他社と同水準か
  3. 追加費用の発生条件は契約書に書かれているか
  4. 参画メンバーの実名と稼働は出ているか
  5. 納期遅延時の責任分界は合意できているか
  6. 作り直しになった場合の社内コスト概算はあるか

まとめ

安い開発会社は、安く見せるためにリスクを隠していることが多い。

見積もり金額だけで選ぶと安く見える。中身で選ぶと、失敗コストごと計算できる。予算が限られているときほど、最安値ではなく不完全な見積もりを落とす判断が効く。


見積もりレビュー・開発会社選びの相談は、お問い合わせフォーム からどうぞ。

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