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「とりあえずPoC」を続けるのをやめる判断|止める・本採用・捨てる

検証が常態化するとコストだけが残る。期限と成功指標がないPoCはプロジェクトではない。Kill/Pivot/Prodの三分岐と事例を整理します。

村田 文太郎/代表取締役
  • 生成AI
  • 新規開発
  • 技術戦略

「まだPoCなので。」——その言葉が四半期をまたぐとき、それは検証ではなく、決断の先送りだ。生成AIに限らず、新規技術・新規業務の検証は、期限と成功指標がないと常態化する。

とりあえず始めるのは悪いことではない。悪いのは、終わり方を定義せずに始めることだ。

PoCは、Kill / Pivot / Prod のどれかで終わるからPoCだ。終わらないPoCは、ただの未決プロジェクトだ。

結論:三分岐表

分岐条件の例次のアクション
Kill(捨てる)指標未達、制御不能なリスク、事業優先度低下学びを1枚に残して止める
Pivot(見直す)方向は有望だが対象や前提が違う仮説を書き直し、期限を再設定
Prod(本採用)指標達成、ゲート通過、オーナーがいる本番工程に載せる計画へ

「もう少しだけ」は分岐ではない。期限付きPivotだけが許される。

事例1:1年PoC

匿名化した一例。社内業務の自動化PoCが週次デモだけ続き、本番接続は「来四半期」。担当が交代し、成功指標が不明なままライセンスと人件費が残った。分岐点は開始3ヶ月目。その時点でKill条件を書いていれば、学びを残して止められた。

事例2:6週で捨てて本線に戻ったケース

別の一例。新しい外部APIの検証を6週・成功指標1つで固定。未達が判明した週にKillし、既存手段の改善に戻した。失敗だが、四半期の本線は守れた。PoCの成功は「採用」だけでなく、早く捨てることでも測れる。

論点:政治的継続と学習の回収

PoCが止まらない理由は、技術より社内事情であることが多い。止めると「始めた人の失敗」に見える。だからこそ、開始時にKillを正常な出口として宣言しておく。学びの1枚(何が分かったか)を成果物にすれば、捨てても無駄ではない。

判断軸

今すぐ分岐するまだ続ける(期限付き)
期限を過ぎ、指標もゲートもない指標まで残り2週間以内で検証可能
本線の投資を食い始めている本線への影響が限定的
オーナーが「様子見」しか言えないPivotの仮説が書き換わった

次に確認すること

  1. 成功指標は1つか
  2. 終了日はカレンダーにあるか
  3. Kill / Pivot / Prod の条件は事前に書いたか
  4. 学びを残す1枚のテンプレはあるか
  5. 「もう少し」の上限回数を決めたか(例: Pivotは1回まで)

まとめ

とりあえずPoCは、始め方ではない。終わり方とセットの言葉だ。期限と三分岐がない検証は、検証の形をした先送りである。止める勇気は、本採用と同じく設計できる。


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