Blog
バックエンド/SREから外注すべき領域の切り方
全部外注か全部内製かの二択をやめる。変更頻度と障害影響で境界を切る。バックエンド・SRE領域の外注スコープ設計を整理します。
- 受託開発
- 技術選定
- 発注失敗回避
「開発は全部外に出す」「いやコアは全部内製」——議論が両極端になりがちだ。実際に効くのは、感情的な線引きではなく、変更頻度と障害影響で領域を切ることだ。
バックエンドとSREは、画面のように切り出しやすい部分と、事業の生死に直結する部分が混在する。ここを雑に切ると、インターフェース地獄か、丸投げ依存のどちらかになる。
残す/出す/一緒にやる、の3分類を先に1枚にする。
結論:切り方の表
| 分類 | 目安 | 例 |
|---|---|---|
| 残す(内製) | 変更が多く、ドメイン知識が競争力 | 中核のドメインロジック、課金ルール |
| 出す(外注) | 変更が比較的安定、専門性が高い | 特定の基盤構築、移行プロジェクト |
| 一緒にやる | 障害影響が大きい、または境界が動く | 認証、観測、デプロイパイプライン |
「得意なので全部できます」は切り方ではない。境界と責任分界を先に書く。
事例1:フロントごと出して遅延したケース
匿名化した一例。少人数の内製チームが、フロント+API+インフラを一式外注。要件変更のたびに「画面もAPIもインフラも」待ちが発生し、リードタイムが内製時代より悪化した。
分岐点は発注範囲だ。中核APIは内製に残し、管理画面とバッチ基盤だけ外に出していたら、変更の待ち行列は短く済んだ可能性が高い。
事例2:基盤だけ出して加速したケース
別の一例。プロダクトAPIは内製、Kubernetes移行と観測基盤だけを期間限定で外注。インターフェース(リポジトリ、環境、オンコールの一次)を文書化し、8週間で内製チームが運用を受け取った。速くなったのは「全部任せた」からではなく、境界が明確だったからだ。
論点:インターフェース・オンコール・コスト
- インターフェース: API契約、イベント、環境変数、権限。ここが曖昧だと結合で必ず止まる
- オンコール: 夜に起こすのは誰か。外注期間中と終了後で分ける
- コスト: 人月単価比較だけでなく、待ち時間と切り替えコストを見る
判断軸:外に出す/内に残す
| 出す | 残す |
|---|---|
| 期間限定の専門作業で、完了条件が書ける | 毎週仕様が変わり、事業判断と密結合 |
| 社内に一時的にスキルがないが、受け取り計画がある | 障害時の判断を外に出せない規制・契約上の制約 |
| 「一緒にやる」で境界を固定できる | 境界自体がまだ揺れている(まず境界設計) |
次に確認すること
- 変更頻度×障害影響のマトリクスを1枚作ったか
- 出す領域の完了条件と受け取り担当はいるか
- オンコールの一次/エスカレーションは書いたか
- インターフェースのオーナーは社内か
- 「なんでも外注」になっていないか
まとめ
バックエンド/SREの外注は、得意分野の丸投げではない。変更頻度と障害影響で残す・出す・一緒にやるを切り、インターフェースとオンコールを先に決める。 切れるなら外注は加速装置になる。切れないなら、先に境界設計だ。
バックエンド・SRE領域の切り出し相談は、お問い合わせフォーム からどうぞ。
Related
関連記事
内製化前提の外注|引き継ぎを契約に書くべき項目
外注の成果物はコードだけではない。自走できる状態を契約に落とす。ドキュメント・ペア・期間・採用支援など、引き継ぎ条項の実務を整理します。
開発会社に「できません」と言われたら?システム開発で代替案を出してもらう方法
「技術的に不可能」「対応できません」と言われた発注者向けに、代替案を引き出す方法と、技術力のある開発会社の見分け方を解説します。